青夏ダイヤモンド



「相手は小中野球やってたんでしょ?打たれても仕方ないじゃん」

昼休みにお弁当を広げながら、充希は腐っている私を元気づけようとしてくれる。

「最終的には野球やったことない人にまで打たれたし」

「それは都の球に慣れたからでしょ」

「たった2回の打席で見切られる貧弱な球なんだよ」

「ただの球技大会じゃん。勝とうが負けようが関係無くない?」

「割り切れない自分がいる」

「負けず嫌いなんだからぁ」

充希の言う通り、ただの球技大会で、学校側は勝負させたいわけではなくて球技大会を通じてクラスの団結力や交流を盛んにしてほしいとの狙いがあるのみだ。

だけど、いざボールを投げて、それが簡単に自分の頭上を越えていった時の悔しさは何度も味わいたいと思うものじゃない。

「でもさぁ、女子であのスピード投げられるなんてすごいって他の人言ってたよ」

「男子なら普通にでる球威だよ」

「もぉ。ああ言えばこう言う!脩にも何か言われた?」

「何も言われないことが逆に怖い」

何故か脩からは何の助言も罵倒も浴びせられなかった。

あんなにボロボロだから、小言の一つや二つは覚悟していたのに拍子抜けした。