脩のその表情を見て、私はまんまと嵌められたのだと悟った。

「もう一発来いよ」

意気揚々と再び脩は目の前で構え直した。

「私は・・・」

グローブに収まったままのボールは腕をだらりと下げると地面に転がり落ちた。

「野球なんて嫌いなのにっ!無理矢理やらせないでよ!」

グローブを外して地面に叩きつけると、私は校舎の方に駆け出した。