「やります・・・」
沖田君に聞こえたのかどうかわからない。
自分の役目を終えたと思った私は、気が抜けたようにストン、と椅子に座った。
そこからは良く覚えていなくて、我に帰ったのはチャイムが鳴り、充希に肩を揺すられた時だった。
「大丈夫?今からでも、代わるって沖田君に言って来ようか?」
私は小さく首を振る。
「そんなに、嫌・・・?」
嫌・・・?
本当に嫌なのか。
好きとか嫌いとか、そういう風に考えることをいつからか辞めていたせいで、拒否した理由が本当に嫌だったからなのかがわからない。
嫌だと思い込もうと、考えたくないと、ずっとずっと思っていたから。

