青夏ダイヤモンド



マウンドに立った脩の姿を祈る思いで見つめていた。

肩はもう治っているらしいけれど、何事もなく試合を終えてほしいというのが1番の願いだった。

鞭のようにしならせた腕を奮って全力投球を一投目に見せた脩を見て、安堵する。

立て続けにストライクを取り、3人を三振に抑えてすぐ攻守交代となる。

トップバッターには翔馬くんが立ったが、内野ゴロに終わったものの、彼はなかなかの俊足のようだった。

そもそも1年生で1番バッターを任されるのだから、野球部の中でも期待されているのだろう。

沖田くんが3番バッターで塁に出ることができた。

4番はキャッチャーの3年生で、ピッチャーがボールを放ったと同時に沖田くんが走り出して、盗塁を決めた。

沖田くんがしてやったり顔で顔についた砂を払っていた。

「あー、やばい。惚れ直す」

「言ってあげたら、沖田くん喜ぶんじゃない?」

「勝手も負けてもベタ誉めするつもり。沖田くんの野球姿見られるのも最後かもしれないもん」

脩の野球姿を見られるのも最後かもしれない。

そう思うと、この試合がずっと続けばいいのに、と思ってしまう。