青夏ダイヤモンド



休日の午後に球場の三塁側席で充希と並んで座り、成南高校の試合が始まるのを落ち着かない気持ちで待っていた。

相手校は2度ほど対戦したことがある相手で、どちらも負け越しているらしい。

「あー、すごい緊張するっ」

充希は胸の前で組んだ手を強く握って振りながら、激しく足踏みをした。

「落ち着け落ち着け」

自分にも言い聞かせるように、充希の背中を撫でた。

「沖田くん、前の試合でエラーして結構落ち込んでたの。朝、LINEしたけど、引きずったりしてないかな、って心配で」

噂をすれば、三塁側ベンチから沖田くんが出てきて私達の視界に入る。

気づいていたかのように、後ろを振り返った沖田くんはこちらに笑顔でピースサインを作った。

「表面上は大丈夫そうな顔するんだよね」

「充希のこと、心配させないようにしてるんだよ」

「そうなんだろうな、ってわかるけど、彼女としては励ましたいよ。大丈夫って言われたらそれ以上何も言えない」

「かっこつけだよね。私達の今できることは一生懸命応援することだけだから、声が枯れるまで応援しよう」

お互いのベンチ前に選手が並んだ。

脩がこちらに視線をちら、と向けて目が合った時に口元に小さな笑みを浮かべた。

号令と共に両校が審判の前に駆け足で集合した。