青夏ダイヤモンド



次の日からは部活に出るようになっていて、グラウンドを横切る時に脩が準備運動や投球練習をしている姿が見られるようになった。

私が見る限りでは投げるフォームへの不自然さは感じなかったし、知らなければ肩に変調をきたしているようには全く見えなかった。

脩がそう見せてる可能性もあるけど。

「何か念じてる?」

充希が私の視線を追いかけたようで、首を傾げた。

「祈ってるように見える」

「脩の野球生活が無事に終わってくれるように、かな」

「私も祈っとこ」

充希も私と並んで沖田くんに向かって祈りのポーズをしている。

投球練習を終えた脩は肩を回しながら、ベンチに向かう途中、一瞬目があった。

脩はすぐに肩を回すのをやめて、ベンチに座ってペットボトルを口に傾ける。

肩を気にしている様子を見せないようにしているのだろうか。

「充希、もう行こっか」

だとしたら、私は必要以上に心配しない方がいいのかもしれない。

脩が野球に気持ちよく没頭できるように、脩の気持ちが軽くなるように、寄り添っていることが唯一私のできることだと思うから。