青夏ダイヤモンド



帰りにグラウンド前で立ち止まって眺めてみたものの、やっぱり脩の姿は見えなかった。

多分、脩は部活に出ていない。

だけど、部活に出ないでどこに行っているというのだろうか。

充希には先に帰ってもらい、私はそのまま駅の待合室の椅子に座った。

部活が終われば必ず脩はこの駅にやって来る。

でも、来ないならやっぱり部活に出ていない可能性が高くなる。

そうしたら、おそらく来るはずの翔馬くんを捕まえようと思った。

もっと良い考えがあったのではないかと思うけれど、ひたすら待合室で待っていると翔馬くんが現れたので外に飛び出した。

「うわっ!びっくりした」

「今日、脩来てた?」

「中川先輩なら休み中ですよ」

「何で?」

「・・・中川先輩、何も言ってないんですか?」

「部活に行ってるって嘘つかれてる」

「ふーん。じゃあ、俺からは言えないですよ」

もしかしたら翔馬くんから話を聞けるかと思ったのに。

やっぱり本人に聞くしかないのだろうか。

「そんなに気になるんですか?話したくないことだから、話さないのに」

「脩が悩んでいるなら、私が何か力になれないかって思うの。私は脩に助けてもらってばかりだったから」

「余計なお世話かもしれないですよ?」

「そうだね。私の力なんて必要ないのかも」

「だったら、そっとしておけばいいじゃないですか」

「それができないから困ってる」