青夏ダイヤモンド



「鷹野っ」

振り向くと、駆けて来る脩の姿が改札を通って来るところだった。

どこから走って来たのか、私の前にやって来た脩は肩で息をしている。

「あ、彼氏さんですか?良かったですね。じゃあ、俺はこれで失礼します」

「うん。またね」

私と脩に向かってぺこ、と頭を下げると、翔馬くんは去って行った。

「またねって、あいつ、文化祭の時にもいなかった?」

「うん。うちの高校受けるんだって」

「それが何で鷹野と関係あるんだよ」

「塾の生徒だよ」

「は?塾って何?」

脩のプレゼントを買うためにバイトをしていたことはまだ内緒にしておきたい。

「充希の叔父さんの塾が人手不足だって言うから、ちょっと手伝ってたの」

「へえ。その生徒ね。俺、何も聞いてないけど」

あれ。また、不機嫌になっている。

言わなかったのは内緒にしていたかったからで、この段階で言わざるを得なかったのは完全に想定外だった。

「言わなくて、ごめん」

「別に、いいけど」

いいけど、って言い方でも顔でもない。