青夏ダイヤモンド



「都さん?」

ハッ、と振り返ると、翔馬くんが安心したような顔をしていた。

「人違いだったらどうしようかと思った。いつもと印象違うから」

私の服装に視線が向けられる。

「さっきからそこに俺もいたんですけど、似てるなぁって思ってて。結構待ってません?彼氏、まだ来ないんですか?」

「うん。遅れてるみたい。翔馬くんは?講習終わって、彼女とデート?」

「だったらいいんですけどね。俺はこれから友達とカラオケです。受験生でもクリスマスくらいは、って。でも、こっちも遅れるって連絡あって、待ちぼうけしてました」

「そうなんだ」

「都さん、寒くないですか?」

屋根はあるものの、足の出ている服装でもあるせいか駅構内に入ってくる風も冷たくて、手は常に擦り合わせていた。

「これ、あげます。俺が使ってたやつだけど、まだ開けたばかりだから結構持つと思いますよ」

翔馬くんはコートのポケットから使い捨てカイロを出して、私に差し出した。

「翔馬くんだって寒いでしょ?」

「と、思ったんですけど、カイロまではいりませんでした。だから、あげます。都さんの方が寒そうにしてるし」

更に差し出されたカイロを私は受け取ることにして、ありがとう、とお礼を言った。

カイロを握るだけで、そこからじんわりと体が温まっていくようだった。