「脩、来たよー」

聞き覚えのある高い声に視線を向けると、谷下さんと3人の女子が入り口から中を覗いていた。

「人気じゃん。うちのクラス、負けてるかもー」

「冷やかしならお帰りください」

「お客さんだってば。何?脩が案内役なの?接客意外」

「撮影したい場所で並んで待つ。以上。撮影料200円ね」

「ちょっとー。もっと丁寧に接客してよー」

「うるせー。次来るんだから、入るなら入れよ」

どうやら谷下さんは元のグループに戻れたらしく、今までと変わらず明るい口調で脩と戯れていた。

チラチラ脩を見ていた女子大生達も「彼女じゃない?」「ショックー」と谷下さんのことを疑いも無く彼女と判断したらしい。

それはそうだ。

谷下さんみたいな美人なら脩とぴったりだし、誰もがお似合いだと認める。

一瞬、谷下さんと目が合った気がしたが、すぐに視線を逸らしたので、勘違いだったかもしれない。

次に撮影するカップルから携帯を受け取り、どんな写真撮りたいか確認し、目の前の仲睦まじい2人を画面に収めることに専念した。