文化祭当日のお客さんの入りは上々で、模擬店以外の珍しい催しとしても好評だったし、模擬店で買った物を持ち込んで写真を撮影する女子高生やカップルが引っ切り無しに訪れた。
作成チームごとに撮影担当者がいるので、お客さん達の指示通りに何枚か撮影していく。
並ぶ事もあったので、時間制限を設けたりしなくてはならない盛況ぶりで特進クラスの面々は忙しく働いた。
とは言っても撮影担当者数人と案内係数人を置いておけば事足りるので休憩時間も長く取ることができている。
私達が作ったパネルは広げた羽の真ん中に人物が立って撮影するもので、お客さんには喜んでもらえていた。
充希と沖田くんは休憩に入っていて、嬉しそうに2人で出かけていくのを見送った。
私の今の役割は案内係なので、入り口付近に立って、待ち時間を伝えたり撮影方法の説明をしたりが主な仕事だ。
ダブルデートなのか、男女4人の中学生がやって来て、私の説明を聞くと女子2人が率先して中に入って行き、男子もそれに続いた。
けれど、もう1人の男子は中に入らず、まだ私の前で立ち止まっていた。
「あれ?中に入らないの?」
「あの、岩佐都さんですか?」
彼が発した言葉にびくり、とした。
まだあどけなさの残る綺麗な顔立ちをした彼は明らかに私より年下だ。
それなのに、何故小学生の時の私のフルネームを知っているのだろう。

