「浴衣作戦、脩にも効果覿面だったでしょう?」
勝ち誇ったような顔で充希が笑みを浮かべる。
浴衣の力があったことは否めないので、何も言えない。
「あー、でもせっかくいい感じになったのに夏休み入っちゃうね。私と都は夏期講習でも会うだろうけど、脩と会えなくなっちゃうよね。私と沖田くんが遊びに行く時にダブルデートしちゃう?」
「それは、沖田くんにも悪いから遠慮するよ。それに、野球部で忙しそうだし」
付き合って初めての夏休み。
沖田くんのことだから、充希と遊びに行くプランをたくさん練っていることだろう。
それに、浴衣マジックがあった花火大会と違って、また2人にされたところでどうしていいかわからなくなってしまうに違いない。
「あ、練習試合見に行く?」
「練習試合って、観客いるものなの?」
「どっちかの学校でやる時はいないだろうけど、何か毎年運動公園でやる試合があるんだって。本番の大会会場に慣れる為、とか言ってたなぁ。その試合は家族が見に来てたり、通りすがりの人が見てたりはするみたいだから、それならそこまで違和感無いんじゃない?」
練習しているところは見たことがあるけど、試合をしているところは見たことがないな、と思うと見てみたい気もする。
今年も甲子園にはかすりもしなかったらしいけど、3年生が引退した今、部活の核は脩達2年生だろう。
主役となった脩の活躍も見てみたい気もする。

