Bloody Kiss♡

 

「どうだ。そろそろ吐く気になったか?」


鋭い爪が頬を滑った。

同時に、ピリッとした痛みを感じた。

きっと、肌を傷付けられたんだ。


椅子に縛り付けられた体は動けないまま、あたしは必死で思考を巡らせた。


知恵を使わなきゃ‥

なんとか このカエル男を騙して、ここから逃げなきゃ‥


漫画や小説なら、ピンチにはヒーローが現れるんだ。

今だって、こんな非現実的な馬鹿げた状況で現れても可笑しくないのに‥。


「吐け!ブラッディキスの在りかを!!」

目玉をギョロつかせて、カエル男が怒鳴った。


「は?なんで、あたしが お前みたいな珍獣に怒鳴られなあかんねんっ!」

作戦を考えるつもりだったのに、ブチ切れてしまった。


─ サイアク‥


そう思った時には遅かった。

カエル男は あたしの喉を目掛けて、その鋭利な爪を突き出した。