「今夜は三日月だな。」

立ち上がった彼は、夜空を見上げた。

つられるように、あたしも月を探した。


ビロードみたいな濃紺の夜空に銀色の三日月。

薄い雲に光を滲ませ輝やく月を見つめていると、ふと哀しみが溢れて来た。

「あたし、死ぬの!だから、邪魔しないで!」

もう、おパンツが見えたって構わない。

あたしは、梯子を昇った。


「待てよ。」

穏やかな声が引き止める。

「放っといて!」

怒鳴り付けるあたしに、彼は優しい声で言ったんだ。


「どーせ死ぬなら、オレが殺してやるよ。な?」


─ え?