Bloody Kiss♡

 

カラオケ店の向かいで、あたしはチヒロを待っていた。

お小遣欲しさに危険なことをしている彼女を、分かっていて止めることが出来なかったんだ。

途中で切れてしまったチヒロからの着信に、危機感を覚えた。

駆け出そうと足を踏み出した時、通り掛かった七海に声を掛けられた。


「ロナ!」

「あ!七海くん!」

「どしたん?こんなとこで。」

「チヒロが‥。」


それまでの経緯を説明すると、七海は「一緒に中に入ろう」って言った。


「いいの?」

「当たり前やん!早く行こ!」


閉鎖した工場の前、電信柱の側に自転車を停め、七海は あたしの腕を掴んでカラオケ店へと駆けた。