Bloody Kiss♡

 

「引き裂かれたいのか?その顔を。それとも火で炙(アブ)られたいか?」


冷静な声が恐怖感を掻き立てる。

あたしは、ブンブンと首を横に振った。


刃先のようなその爪が視界から離れない。

緑色の湿った指が薄暗がりの中、気味悪く光っていた。


─ この爪で切り裂かれたら‥

  あたしは‥


今、目の前にある現実を否定したい。

こんな馬鹿げたこと、あっていい訳が無い。


「ブラッディキスは、どこだ!」


ナイフのように尖った爪をカエル男が振りかざした瞬間、あの日のことが脳裏を過ぎった。


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