Bloody Kiss♡

 

「や‥、やだ‥、来るな‥。」


やっとの思いで絞り出した声は震え、それだけを言うのが精一杯だった。


冷や汗か何なのか分からない。

全身から汗が吹き出していた。


眉の無いヌメヌメした顔の両端には、ギョロリとした大きな目玉。

ひらべったくて低い鼻と、赤味の無い薄い唇。

その無表情な顔は、カエルを連想させた。


「吐け!ブラッディキスは、どこだ!」

カエル男は、あたしを睨み付け、ヌメった緑色の手を伸ばした。

長い爪があたしの頬に触れる。

「知らない‥。」

小さく首を振ると、カエル男はギョロギョロした目を更に見開き、唇だけを左右に伸ばしてニヤリと笑った。