「や‥、やだ‥、来るな‥。」
やっとの思いで絞り出した声は震え、それだけを言うのが精一杯だった。
冷や汗か何なのか分からない。
全身から汗が吹き出していた。
眉の無いヌメヌメした顔の両端には、ギョロリとした大きな目玉。
ひらべったくて低い鼻と、赤味の無い薄い唇。
その無表情な顔は、カエルを連想させた。
「吐け!ブラッディキスは、どこだ!」
カエル男は、あたしを睨み付け、ヌメった緑色の手を伸ばした。
長い爪があたしの頬に触れる。
「知らない‥。」
小さく首を振ると、カエル男はギョロギョロした目を更に見開き、唇だけを左右に伸ばしてニヤリと笑った。


