「ま、確かにそうなんだけど‥。その前に、確認しておきたいことがあってね。」


何が可笑しいのか、彼は含み笑いをした。

そして

「ロナちゃんって、俺のタイプなんだよね~。」

と、両膝に肘を付いた姿勢で、あたしを覗き込むように見つめた。


─ なに、これ?

  口説きに入ってる?


内心 焦ったけど、確か店長は既婚者だったはず。

それに、全くあたしのタイプじゃない。


「ありがとございます。でも、そんなこと言ってると、奥さんに叱られますよ。」

嫌味な作り笑顔を浮かべて、あたしは彼を窘めた。


だけど、その反応を勘違いしたみたい。

店長は

「ロナちゃん、もしかしてヤキモチ妬きかな?心配しなくていいよ。俺はね、奥さんには肉親愛しか感じていないんだよ。」

そう言うと、ソファから立ち上がりローテーブルを廻って、あたしの真横に腰を下ろした。