「バイト行こ‥。」
気持ちを切り替えようと、大きく息を吸い込んで吐いた。
走ったせいで、冷え切った体は体温を取り戻していた。
それに、部屋は暖かい。
「こんな所に閉じ込められてるから、感覚が可笑しくなるねん。マジ早く逃げなきゃ、頭が変になる。そか!バイト先からなら、逃げること可能かも‥。」
呟きながらベッドを降り、メイド服を脱いでクローゼットの扉を開けた。
思った通り、朝には無かった服が幾つか並んでハンガーに掛かっていた。
あたしは、その中から黒のニットワンピを選んで、ボア付きのブーツを履いた。
そして、フェイクファーのハーフコートを腕に抱え、部屋を出た。
取り上げられているバッグとケータイは、返して欲しい。
セトに交渉する意気込みで一階のホールに戻った。


