Bloody Kiss♡

 

「バイト行こ‥。」

気持ちを切り替えようと、大きく息を吸い込んで吐いた。

走ったせいで、冷え切った体は体温を取り戻していた。

それに、部屋は暖かい。


「こんな所に閉じ込められてるから、感覚が可笑しくなるねん。マジ早く逃げなきゃ、頭が変になる。そか!バイト先からなら、逃げること可能かも‥。」


呟きながらベッドを降り、メイド服を脱いでクローゼットの扉を開けた。

思った通り、朝には無かった服が幾つか並んでハンガーに掛かっていた。

あたしは、その中から黒のニットワンピを選んで、ボア付きのブーツを履いた。

そして、フェイクファーのハーフコートを腕に抱え、部屋を出た。


取り上げられているバッグとケータイは、返して欲しい。

セトに交渉する意気込みで一階のホールに戻った。