「あ、そうですか。そりゃどーも!」
熱くなる頬を誤魔化すように、部屋を飛び出した。
廊下を走って螺旋階段を駆け上がり、その勢いで二階へと向かった。
そして、乱暴に部屋の扉を開け、ベッドにダイブした。
─ 有り得ない‥
魔物にときめくなんて‥
セトの考えていることが全く分からない。
あたしをどうするつもりなのか、何も分からない。
誘拐されて軟禁状態で、その腹立たしい実行犯は吸血鬼。
なのに、彼に魅せられているあたしがいる。
見つめられただけで、DOKIDOKIするなんて‥。
認めたくないのに、逐一反応するココロは否定しようがなかった。


