その漆黒の瞳に捉えられると、身動きが取れなくなる。
ズキズキと甘く胸が疼いた。
「矯正なんて、頼んでない‥。」
自然と弱くなる口調で、それでも反発しているのは今の気持ちを認めたくないからで、そんなあたしを見通しているかのように、セトは余裕の笑みを見せると、突然あたしの短所を指摘し出した。
「怒ると言葉遣いが悪くなるのは、お前の悪い癖だ。男より上に立とうとする気質もな。過去のトラウマか?それに、本来は家庭的なのに、女らしさを表に出そうとしない損な性格。ん~、それから‥。」
誰だって、面と向かって自分の短所を挙げられれば、自覚していたって不愉快になる。
感情は目まぐるしく、あたしの中で入れ替わった。
「もう結構です!バイトだし行くねっ!!」
そう言い放ってベッドを降りたあたしを、セトは呼び止めた。
「待てよ。」
「なに?!」
怒りも露わに振り返ると
「さっきのロナ、可愛かったぜ。今が真夜中なら、間違いなく理性ぶっ飛んでたな。」
セトは、少年のように悪戯な笑みを見せた。


