身を固くしたまま戸惑うあたし。
その様子を面白がるように、セトはクスッて笑った。
「まぁ、合格ラインだな。」
独り言のように呟き、彼は あたしから離れた。
「合格?なにが?」
小首を傾げるあたしに、セトは嫌味な笑顔で答える。
「お前って、根っからのドMじゃん♪」
その言葉が あたしの導火線に引火した。
「は?なに言ってんの?意味分からんし!」
思わず、勢い良く起き上がった。
セトの理解し難い言動に、寒ささえも吹き飛んでいた。
「おい!吸血鬼!あんま調子に乗ってたら殴んでっ!」
拳を握りしめて威嚇してみたけど、効果なんて無くて
「その気の強さは、言わば仮面ってとこか?その仮面剥いで鳴かせる時は、超快感だろうな。」
セトは茶化すように言うと
「でも、あれだな。ロナの挑発的な性格は命取りだ。その部分だけは、オレ様がしっかり矯正する必要があるな。」
さっきとは打って変わって、真剣な瞳であたしを見つめた。


