Bloody Kiss♡

 

蝋燭の灯りだけの薄暗く細長い空間は、暖房器具も無いのか、とても寒かった。


吸血鬼って、暑さも寒さも人間のようには感じないのかな‥

あたしの生活スペースが暖房で温められてるのは、セトの親切心?

んなワケ無いか‥

親切な魔物なら、か弱い女の子を誘拐したりしないし‥

でも、面白かったな‥

吸血鬼がボクサーパンツ履いてるなんて‥


洗濯をした時に、思わず吹き出してしまったことを思い出した。

洗濯カゴに紛れていた真っ赤なボクサーパンツ。

あたしは小さく笑った。

だけど、寒さで体は凍えそうだった。


吐く息が白い。

真冬の今、この地下室は外気と変わらないのかもしれない。


階段を下り切った場所から扉の数を数えつつ、廊下を進んだ。

そして、四つ目の扉の前で立ち止まり、あたしは軽くノックした。