蝋燭の灯りだけの薄暗く細長い空間は、暖房器具も無いのか、とても寒かった。
吸血鬼って、暑さも寒さも人間のようには感じないのかな‥
あたしの生活スペースが暖房で温められてるのは、セトの親切心?
んなワケ無いか‥
親切な魔物なら、か弱い女の子を誘拐したりしないし‥
でも、面白かったな‥
吸血鬼がボクサーパンツ履いてるなんて‥
洗濯をした時に、思わず吹き出してしまったことを思い出した。
洗濯カゴに紛れていた真っ赤なボクサーパンツ。
あたしは小さく笑った。
だけど、寒さで体は凍えそうだった。
吐く息が白い。
真冬の今、この地下室は外気と変わらないのかもしれない。
階段を下り切った場所から扉の数を数えつつ、廊下を進んだ。
そして、四つ目の扉の前で立ち止まり、あたしは軽くノックした。


