「ほほう、随分と動きが淑やかになられましたようで。」

そんな感想を口にされたって、嬉しくも何ともない。

「こんな服着てるんやから、当たり前でしょ!」

あたしは、憎まれ口を叩いた。


何が可笑しいのか、ホルスは口元を緩ませて

「さて、メイドの仕事は、まだ残っておりますよ。そろそろセト様を起こしに行かれては如何ですかな?とっくに陽は落ちておりすが‥。」

と、窓の向こうに視線をやった。


いつの間にか、空は暗くなっている。

玄関ホールの壁時計は、6の数字がてっぺんに来ていた。

「分かりました!」


あたしはふて腐れながら、ホルスに教えられた通り地下へと続く螺旋階段を下りた。