まやかしの楽園からマリィを救うには、見破る者が必要なこと。
それをアフロディーテに教えたのは、セト。
魔王とアフロディーテの賭けの中継ぎをしたのも彼だった。
「聞くところによると、あなたが魔王を改心させ魔界を浄化したのですわね。しかも、血を流すことなく愛の力で!素晴らしいわ!ワンダフルよ!」
そう言うと、女神はセトのことを話し出した。
恋多き女神、アフロディーテは吸血鬼とも恋をした。
そして生まれたセトは、神の力を秘めた強力なバンパイアであると同時にバンパイアバスターでもあった。
「彼の産声に含まれた超怪音波は、わたくしのスウィートハートである彼の父親だけでなく、一瞬で全ての吸血鬼を消滅させましたの。ですから、セトは吸血族最後の生き残りになったのですわ。そして今回、セトは何かを感じていたのでしょう。マリィを救う条件として、万が一 彼が消滅するようなことがあれば、人間界の者として再生させて欲しいと、わたくしに打診してきましたの。それは、息子であるセトの初めてのお願い事でしたわ。」
機関銃のように、女神は喋り続けた。


