不意に
「あなたがセトのワイフね?」
と、背後で女の人の声がした。
「え?」
突然の来客に驚いて、あたしは振り返った。
「あら、泣いてらしたの?」
そう訊いた女の人は全身が光り輝いていて、今時珍しいアフロヘアだった。
「どなたですか?」
片手に七海を抱き、あたしは涙を拭いた。
「その節は、娘のマリィと侍女のミューがお世話になりましたようで。あなたのお陰で本当に助かりましたわ。」
キラキラ輝くアフロヘアの女の人は、そう言うと
「わたくし、美と恋愛と豊饒の女神、アフロディーテでございます。マリィ、そしてセトの母ですの。」
と、微笑んだ。


