Bloody Kiss♡



不意に

「あなたがセトのワイフね?」

と、背後で女の人の声がした。


「え?」

突然の来客に驚いて、あたしは振り返った。


「あら、泣いてらしたの?」


そう訊いた女の人は全身が光り輝いていて、今時珍しいアフロヘアだった。


「どなたですか?」

片手に七海を抱き、あたしは涙を拭いた。


「その節は、娘のマリィと侍女のミューがお世話になりましたようで。あなたのお陰で本当に助かりましたわ。」


キラキラ輝くアフロヘアの女の人は、そう言うと

「わたくし、美と恋愛と豊饒の女神、アフロディーテでございます。マリィ、そしてセトの母ですの。」

と、微笑んだ。