─ 何もかも、夢ならいいのに‥
授乳室で我が子の唇におっぱいを含ませながら、何度もそう思った。
この子は、バンパイアバスターなんかじゃなくて‥
そんな能力を持たないフツーの赤ちゃんで‥
あたし達は家族三人、ずっと仲良く暮らしていける‥
ホントに、ずっと仲良く暮らしていけたら‥
妊娠を告げた時、セトが浮かない顔をしたのは、あたしを心配したから‥
自分の命が懸かっていると言うのに‥
そんな優しさに包まれて過ごすことは、この先 不可能‥
あたしも、この子も‥
出産から五日後、あたしと赤ちゃんは退院した。


