Bloody Kiss♡



ルシフェルの本当の姿を見たのは、神だけ。


─ でも、違う‥

  知っているのは、きっと‥

  神だけじゃない‥

  だって‥



「魔王‥。」


あたしはルシフェルを呼んだ。

ルシフェルは返事をする代わりに、その釣り上がった目であたしを見つめた。


「あたし‥、産む。あなたの子どもを‥。」

「ならば、話は早い。」

「でも、産むのはサタルドじゃない。天使‥。あたしが産むのは天使‥。だって、あなたは、大天使ルシファーやもん‥。」


大天使ルシファーは、神の怒りを買い天界を追放された。

そして、堕天使となり悪魔へとその姿を変えた。


「あなたは愛を知ってる。ホントは愛に溢れた天使だったから‥。だから、愛を利用してマリィを騙した。七海に姿を変えて、あたしを騙そうとした。愛を知ってるから愛を利用しようとした。愛を知らないなら、そんなことは考えもつかないもん。そうでしょ?」


話しながら涙が潤んできた。


例え、神の怒りに触れた行いをしたとしても、大天使だったルシファーが堕天使に身を堕とすなんて、きっと屈辱でしか無かったはず。


時に、憎しみは愛をも上回る力を持つのかもしれない。

だから、ルシファーは愛を封印し、悪魔になって神に復讐しようとしたんだ。