セトと会話している内に、いつしか恐怖感は消えていた。

非道いことはされないと本能で感じたのかもしれない。


彼がその気になれば、手足を拘束することも、力付くで欲望に身を任せることも出来た。

けれど、セトは “メイドになれ” という馬鹿な条件を出しただけ。

今後、襲われるような危険も無いように感じた。


「吸血鬼なんて、ホントかな?」


さっき見た不思議な現象が、ふと脳裏に甦る。

あたしは腕に抱えたままのメイド服に視線を落とした。