巨大化した体は黒く、その容姿は、漫画やアニメによく描かれているような悪魔そのもので、部屋には例えようのない異臭が立ち込めていた。
「七海くんに化けるなんて、サイテー!」
きっと、マリィの時にも同じことをしたに決まっている。
ジョルジオに化け、マリィを騙そうとしたんだ。
卑怯なヤツは嫌い。
「コスいねん!」
怒りに任せてデカい図体の悪魔を罵っているうちに、あたしの中から怖さは消えていた。
「褒美だ、セト。」
エコーが掛かったように響く低い声で、ルシフェルはそう言った。
瞬間、ルシフェルの右手から光りの玉が飛び出した。
その玉は不意をつかれたセトへと直撃し、セトは後方へと吹っ飛んだ。
「裏切り者へのな。」
息を飲むあたしの目の前で、ルシフェルは高らかな笑い声を上げた。


