Bloody Kiss♡



「気にしないで。また会えたんだから。それに見て。僕はセト神と同じくらい、いや、それ以上に強力になった。今は魔界の王、ルシフェル。地獄を牛耳るハデスに負けないくらい強力や。」


七海は立ち上がり、あたしに向けて両手を広げた。

背中には片方だけの黒い翼。

その翼が揺れる度、空気が微かに揺れた。


あたしは、彼の元に行くことを躊躇していた。


中学生の頃のまま、変わらない七海。

でも、何かが違う。

だって、七海は‥。


「絽那、どうしたん?」

七海はそう訊いて、答えないあたしに

「分かったよ。」

と、納得したように目を伏せた。


そして、

「セト、ホルス、下がれ!」

威厳に満ちた声で命令した。