「マリィ、大丈夫かな?今の人間界でやってけるかな‥?」

ひたすら真っ直ぐに走り続けるジェットコースターの中で、独り言を呟いた。

それが聞こえたみたい、セトは

「アイツは女神の娘。並の人間じゃねーんだぜ。」

と言うと、前方を見つめた。


そして

「そろそろだな。」

と、目を細めた。


途端、ブラックダイアモンドの夜空に真っ赤な亀裂が入った。

その亀裂は、どんどんと空間を広げ、夜空に紅く丸い空洞を作った。


「あれが魔界‥?ミス‥なんだっけ‥?」

「ミスティックステイトだよ。」


心拍数が一気に上がった。

緊張が どっと押し寄せて来た。


「魔王に会うの?」

「その為に来たんだろ。馬鹿。」


冷静に憎まれ口を叩くセトに腹が立つのに、言い返す余裕も無い。

恐怖に叫ぶ間も与えず、速度を上げたジェットコースターは、燃えるような赤の空洞へと猛スピードで突っ込んだ。