「魔王の真の姿を見た者は天空の神だけ。ロナ、惑わされないよう気をつけて。」


エロースがそう言った瞬間、辺りは真っ暗闇になった。

最後に、天使達の「ありがとう」の声だけを残して‥。


「ちょ!なに?怖いやん!」

暗闇に恐怖を感じて叫んだ時、どこからか微かな光が射し込み

「パーティは終了だ。魔王の花嫁候補様。」

目の前にセトが現れた。


気付けば、あたしは あのプラットホームに立っていて、側にはジェットコースターが停まっている。


「一体、あんたって何?高見の見物でもしてたん?てか、マリィを助けるために、あたしをここに連れて来たってこと?悪魔の手先のくせに?」

腹立たしげに責めるあたしを、セトは鼻で笑うと

「オレは魔王に命令されたことを実行に移したまでだよ。手先だからな。さ、急ぐぜ。乗れよ。」

と、澄まし顔でジェットコースターへと飛び乗った。


「こうなったら、悪魔と結婚して、セトを魔界から追放してやる!」

「望むところだな。」


ブラックダイアモンドの夜空は、怪しく輝いている。

あたしの不安と怒りを乗せて、ジェットコースターは走り出した。

気持ちと比例するように、どんどん速度を上げて‥。