彫刻の天使は、語り出した。
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昔むかし。
人間界に降りた女神は、とある国の王子に恋をした。
二人は結ばれ、そして、マリィが生まれた。
だが、神がその姿を変え、人として地上で生きるには期限が決められている。
女神は已むなく、赤ん坊のマリィを王子の元に残し天界へと帰った。
女神が去ったあと、王子は王となり正式に妃を迎えた。
心優しい女性で、王妃は我が子のようにマリィを愛した。
マリィは何不自由無く育てられ、一流の家庭教師や養育係によって、王女としての教養もマナーも身に付けた。
天真爛漫な性格と持って生まれた美貌。
成長したマリィに、求婚者は絶えなかった。


