開かれた窓を通り抜け、幻惑鳥は空高く舞い上がった。
眼下に見える城は、どんどん小さくなっていくけど寒さは感じなかった。
「とりあえず、背中に乗せて飛んでよ‥。」
ぶら下げられたままブツクサ文句を言いながら、果てしなく続く花畑を眺めていた。
すると、突然
「まぼろしー!」
大きな声で、また幻惑鳥が鳴いた。
途端、あの果樹園がその存在を現した。
幻惑鳥は、あたしの髪を掴んだまま果樹園の上をゆっくりと旋回し出した。
その時
~ おいで、おいで、もう一度‥
おいで、おいで、幻惑鳥が鳴いたとき‥♪~
彫刻の天使達の歌声が聴こえてきた。


