Bloody Kiss♡



「早いね。」

イケメンの一人が呟いた。


「強い精神力だな。」

更に、もう一人。


だけど、さっきまでカッコ良かった声が何故か濁って聞こえる。

あたしは、彼らに視線を戻した。


─ え?


確かに居たイケメン達は皆、醜い容姿のスプリガンに姿を変えている。

スプリガンは、確か、弱き者や宝物を守る妖精。


─ どーゆこと?なんで、あたしを騙そうとしたの?


疑問に感じていると、天井から舞い降りて来た幻惑鳥は、その二本の足であたしの髪を鷲掴みにした。


「あッ!」

と悲鳴を上げたけど、痛みは無かった。

鳥は、あたしの髪を掴んだまま、ステンドグラスの大きな窓に向かって飛んだ。