“半日ほど眠っていた”

ミューは、そう言っていた。


部屋のカーテンが遮光だったのか気付かなかったけれど、半日も眠っていたなら、夜になっているはず。

なのに、廊下に出ると、均等な感覚を置いて並ぶ窓から真昼の光が差し込んでいた。


─ 時の無い世界、なのかな‥?


この“まやかしの楽園”の空に、太陽は無い。

ただ、空全体が明るく輝いている。


陽が暮れることのない世界。

これじゃ、何日経ったのか判らなくなる。


「ねぇ、ミュー。あなたって、いつからこの城にいるの?」


あたしは、前を歩く彼女に問い掛けた。