Bloody Kiss♡



その歌声に誘われるように、歩を進めた。


城主マリィ・リマ以外は、立入禁止の果樹園。

侵入者を防ぐために何かトラップのような物が仕掛けてあるんじゃないかと懸念したけど、妖精達が果実の手入れをしているだけ。

魔物すら、出て来る気配は無かった。


金色の小道は、果てしなく奥へ奥へと伸びている。

耳には『おいで、おいで♪』と、歌い続ける声が届いている。

なのに、どんなに歩き続けても歌声の主は現れない。

着なれないドレスと履き慣れない靴で、いい加減 疲れてきた。


「おいでって、一体どこに行けばいいん!」


歯痒くなって見えない相手を怒鳴った時、目の前に真鍮の門扉が現れた。