城を出る時、ミューに忠告されている。 果樹園は立入禁止だって‥。 それは、覚えていたけど‥。 手入れの施された果樹園がとても美しくて、それに、たわわに実る果実から香る甘い匂いに誘われて、あたしは、禁区だと言われた場所に足を踏み入れていた。 金色の小道は真っ直ぐに、奥へ奥へと伸びていた。 あたしは立ち止まり、林檎のような桃のような不思議な果実を眺めていた。 甘い甘い食欲をそそる香りに、その実を食べたくなった時 「おいで、おいで‥♪」 ふと、歌うように軽やかな幼い声が聴こえた。