Bloody Kiss♡



だけど、お城の庭は見渡す限り、花、花、花‥。

果樹園なんて、どこにも見当たらない。


水仙が暖かい風に揺れている。

ストロベリーフィールドが太陽の無い青空から、降り注ぐ光を浴びている。

たんぽぽの葉の上では、妖精が羽を休めていた。


“お庭”と呼ぶよりは、広大な敷地。

どこまでも続く花畑に、ただただ見とれるばかり。


これじゃ、地平線じゃ無く花平線だ。


─ 花平線て、なんやねん‥


思わず自分の発想にツッコミながら、あたしは、ゆっくりと小道を歩いた。