だけど、お城の庭は見渡す限り、花、花、花‥。 果樹園なんて、どこにも見当たらない。 水仙が暖かい風に揺れている。 ストロベリーフィールドが太陽の無い青空から、降り注ぐ光を浴びている。 たんぽぽの葉の上では、妖精が羽を休めていた。 “お庭”と呼ぶよりは、広大な敷地。 どこまでも続く花畑に、ただただ見とれるばかり。 これじゃ、地平線じゃ無く花平線だ。 ─ 花平線て、なんやねん‥ 思わず自分の発想にツッコミながら、あたしは、ゆっくりと小道を歩いた。