「じゃ、いってきます♪」
ミューに向かって軽く手を振った時、
「あ‥、ひとつだけ‥。」
と、彼女は神妙な顔をした。
「ん?なに?」
「はい、ロナ様。ひとつだけ、気をつけて頂きたいことがございます。」
お花畑の向こうに果樹園がある。
その果樹園には、決して足を踏み入れてはいけない。
「ガーデンの果樹園は、マリィ様以外は足を踏み入れてはならぬ禁区となっております。」
ミューは、そう忠告した。
美しいとは言っても、ここも魔界。
きっと、恐ろしい何かがあるに決まっている。
特に理由を尋ねることもせず
「果樹園ね。分かった。」
あたしは、親指と人差し指でOKと丸を作って、彼女に頷いた。


