「スゴい‥。」
広い衣装部屋の端から端まで、何百着ものドレスが並んでいる。
「綺麗‥。」
目が眩むようなゴージャスなものから、シックなものまで、どれも溜息が出るほどに美しい。
「花嫁候補様には‥。」
と、言いかけたミューに
「ロナでいいよ。」
と、伝え
「あ、ごめん。続けて。」
あたしは、話の先を促した。
「畏まりました。ロナ様。では、ロナ様の御召し物ですが‥。」
そこからは、あーでもないこーでもないと相談と試着を繰り返し、小一時間後
「やっぱ、これかな?」
胸元にルビーが散りばめられたシンプルなデザインの深紅のドレスを、あたしは選んだ。


