気の強さは父親譲りだと思う。
ママは、穏やかな人だから。
ただ微笑むだけで、返す意思の無さそうな銀髪男を見ていると、急激に腹が立ってきた。
「返せよ!変態っ!!」
どう考えても不利な状態なのは分かっていても、こんなヤツに負けたくない。
だけど、彼は二度目の要望も無視した。
そして、壁に背を預けて立ったまま、真面目な顔で
「相田絽那。19歳。血液型はO。服飾専門学校の二年生。家族は両親と弟が一人。今は冬休みで、昨夜 同棲中だった三上アツヤに捨てられたとこ。趣味は、裁縫‥って地味だな‥。子どもの頃の夢はアイドル歌手。ん~、それから、すきな食べ物はイチゴとチョコレート。どう?正解?」
って、訊いた。
突然、自分のことを語られて驚いた。
まだ何ひとつ話していないのに、彼はあたしのことを知っている。
「なに?あなた、ストーカー?」
思わずベッドから飛び出しそうになる衝動を抑えて、あたしは銀髪男を見据えた。


