花嫁には、しとやかさが求められる。
その動きを身に付けるため、着物から再度 悪趣味なメイド服に着替え、あたしは また屋敷中を掃除した。
背後でホルスが監視している。
おパンツが見えないよう気を遣いながら、長い廊下を雑巾掛け。
開かない窓の外は、すっかり陽が暮れていた。
「さて、ロナ様。そろそろ時間でございます。お出掛けのご準備をなさいませ。」
不意に声を掛けられ、思い出した。
─ 明日はデートだ‥ ─
そう言ったセトの言葉を。
「うん、シャワー浴びて来る。」
雑巾をホルスに手渡して、あたしはシャワールームに向かった。


