Bloody Kiss♡



悪魔と結婚したからと言って、普通の主婦のように家事をするわけではない。

包丁を片手にホルスは、そう説明した。


身の回りの世話は、全て従者が行う。

花嫁は、ただ魔王の寵愛を受け子どもを産むだけ。

サタルドを人間界へと放つために‥。


「なら、なんで‥?」

「それは、ホルスには分かりかねます。ですが、どんなことも出来ないよりは出来る方が良いのですよ、お嬢様。知識や技術は、身に付けていても邪魔にはなりませんからな。」

答えると、ホルスは、あれこれと指示を始めた。


家事は嫌いじゃないけど、悪魔に気に入られるために それをするんだと思うと気持ちは萎える。

自分で作った料理も、一人で食べるんじゃ味気ない。


朝食を作って掃除や洗濯をして、午後には昼食作り。

ランチのあとは、何故かホルスの指導で着物の着付けや茶道までやらされた。


「良い御点前で‥。」

なんて、真顔でお茶を啜るホルスに吹き出しそうになった。