血で染まったようなワイン風呂に浸かって、体を温めた。
ライオン像の口から吹き出すお湯も、当然ワイン色だけど、とてもグロテスクに見える。
「今日は、ワイン浸け?これも魔王の趣味?」
文句を言いながら、ピンクのバブルバスに体を沈めた。
バスタイムのあとは、悪趣味なメイド服に着替えダイニングルームへと足を運んだ。
ふと、セトのことが脳裏を過る。
『調教してやる』とか『奉仕させる』とか、あのドS発言は、あたしの反応を確かめるためだった。
あたしがM?
バカバカしい‥
イジられんの嫌いやっちゅーねん‥
「あれ?ご飯まだ?」
テーブルの上には、お皿ひとつ並んでいない。
キッチンに向かって、ホルスに声を掛けた。
姿を現したホルスは、厳つい顔に満面の笑みを浮かべると
「花嫁修行ですよ。ロナ様。キッチンにおいでなさい。」
と、言った。


