コツコツと、ドアの向こう側から靴音が響いて来た。
その靴音は、この部屋の前で止まった。
─ 家の中なのに、靴?
欧米か‥
内心 怖くてたまらないのに、そんな突っ込みを入れてしまう関西人魂が憎い。
音も立てず、スーッと開くドアを見つめて、あたしは羽毛の掛け布団で首までを覆い隠した。
途端、アツヤのマンションで出会った銀色の髪の男が姿を現した。
「起きてた?」
軽い口調で尋ねて、彼はニッコリ笑った。
その笑顔に、今ある状況を忘れそうになる。
見た目イケメンだけど変態な その男を睨み付け、あたしは
「服、返してよ。」
と、ぶっきらぼうに言った。


