「お嬢様!いや、ロナ様!おめでとうございます!」
背後でホルスが歓喜の声を上げたけど、怒鳴り付ける余裕なんてなかった。
─ ブラッディキス‥
これがトカゲ男の探し物?
手首でキラキラ輝くロザリオをジッと見つめて、あたしはトカゲ男の言葉を思い返していた。
“裏切り者め‥”
確かに、あの時、サラマンドラはそう言った。
セトを裏切り者だと‥。
それは、もしかしたらセトが反逆者だってこと?
「セト‥。」
「ん?」
「あたしを花嫁候補に選んだのは、セトなの?」
直球を投げず遠回しな質問をしたのは、誤魔化されたくないから。
セトは首を横に振ると
「いや、黒魔導師だ。」
と答えた。


