Bloody Kiss♡



「お嬢様!いや、ロナ様!おめでとうございます!」


背後でホルスが歓喜の声を上げたけど、怒鳴り付ける余裕なんてなかった。


─ ブラッディキス‥

  これがトカゲ男の探し物?


手首でキラキラ輝くロザリオをジッと見つめて、あたしはトカゲ男の言葉を思い返していた。


“裏切り者め‥”


確かに、あの時、サラマンドラはそう言った。

セトを裏切り者だと‥。

それは、もしかしたらセトが反逆者だってこと?


「セト‥。」

「ん?」

「あたしを花嫁候補に選んだのは、セトなの?」


直球を投げず遠回しな質問をしたのは、誤魔化されたくないから。


セトは首を横に振ると

「いや、黒魔導師だ。」

と答えた。