そう、セトは吸血鬼‥

てことは、あたしも吸血鬼に?


「もしかして、あたしの血 舐めた?」

「ああ。だから?」

「嘘でしょ?あたし、吸血鬼になんかなりたくないっ!何してくれてんねんっ!!」


吸われてはいないけど、舐められた。

きっと、もう全身を吸血鬼菌が侵食しているはず。


「マジ有り得ん!サイアク!」


あたしはパニックになった。


「愚かだな。お前。」

「なんでよ!?」

「バンパイアに襲われた人間がバンパイアになる、なんてのは物語の中だけだ。大体、バンパイアは人間を襲わない。オレ達はジェントルマンなんだぜ。」


そう言うと、あたしの頭をポンポン叩いて

「時間が無い。行くぞ。」

シルクの黒いマントを華麗に翻し、セトは館へと向かった。