「よかったなチワ。それだけ驚いてくれたら、この場を用意した甲斐があったよ。……そろそろツララを自由にさせようか? 他の人とも話したいだろうし」
舞い上がる千和子を落ち着かせると、悠真は氷柱から優しく引き剥がし、席につかせた。
千和子は頭の整理をするのに必死で、しばらく大人しくなる。
その間に、氷柱は他の者に一言づつ声をかけた。
「その生意気な顔……キーだよな? ずいぶん大きくなって。昔は私より小さかったのに」
「お前は相変わらずバカそうだな。髪染めて化粧して、さらに拍車がかかっている」
「……ああ、口が悪いのは変わらないんだな。キキはさっきも言ったけどマジで美人だな? 男どもは放っておかないだろ?」
「そんな事ないよ。そんなの全然ないから」
「何を言ってる? 校内だけでなく、他校の生徒にまで目をつけられているだろ?」
「まじ? スゲー!」
「悠真さん、余計な事言わないでよ!」
千和子は黙ってみんなの会話を聞いた。すると顔は自然とほころんだ。
何だか昔に戻ったみたい……そう思えたから。
氷柱は千和子らグループの中心人物だった。
行動力があり思った事をすぐ口にする性格の氷柱。
遊び召集の大半は彼女によるものだった。
だから氷柱が転校した日から、みんなで集まり遊ぶ回数は極端に減った。
中学生になってからは、こうして集まる事も希になった。
それでも高校生になっても同じ学校に通い、仲むつまじい関係を築いている。
一般的に見ても仲が良いのは間違いない彼女ら。
……でも以前と比べてしまうと、物足りなさを感じてしまう。
そう感じるきっかけを作ったのは、紛れもなく氷柱だった。
「……また昔みたいに、ずっとみんなといたいな」
千和子はボーッとしていて、つい思っている事を口にしてしまった。
気がついた時にはもう遅くて、みんなは話を止めて千和子を見ていた。
「ごめん、変な事言ったよね? 気にしないで」
「気にしないよ。むしろ僕は驚いたからね。まさかチワも僕と同じ事を考えていたなんて」
「……え?」
「また遊ぼうよ、こうやって集まって。さっそくこの後どこか行かないか? カラオケとか久々に行きたいかも」
そう言った悠真は席を立ち、皆に出発を促す。
「久しぶりのツララとの再会だ。質素でもお祝いはしないとね。高校生の僕らには今宵の時間は限られている。とりあえず学校を出よう。行き先は歩きながら考えよう」
悠真を先頭に、幼馴染5人は学校を後にした。
氷柱との再会を懐かしみながら、繁華街へと繰り出す。
